全射な曲線と単射な曲線

正方形を埋めつくすことで知られる Peano 曲線は、単位閉区間 I=[0,1] から正方形 I^2 への全射な連続写像です。このような曲線の発見は、次元論PDFでもふれた通り、次元の概念をゆるがす一つの出来事でした。今回のPDFでは、単位閉区間の連続像として表される (Hausdorff) 空間のクラスを特徴づける次の古典的な定理を紹介します。

定理A (Hahn-Mazurkiewicz の定理). Hausdorff 空間 X に対して、全射な連続写像 f\colon [0,1]\to X が存在するためには、 X が局所連結かつ連結でコンパクトな距離化可能空間であることが必要十分である。

この定理により、n 次元立方体 I^n や無限次元の Hilbert 立方体 I^\omega などが単位閉区間の連続像であることがすぐにわかります。その一方で、上の定理は、そのような連続像として表される空間には、連結性・コンパクト性のほかに「局所連結性」という制約があることを示しています。たとえば、下は「ワルシャワの円」という名で知られる局所連結でない空間ですが、これは決して単位閉区間の連続像で表すことができません。

上の定理Aは、空間に全射な曲線をつくる定理でした。今回紹介するもう一つの定理Bは、空間に単射な曲線をつくる定理です。

定理B. 弧状連結な Hausdorff 空間 X の任意の異なる二点 a,b\in X に対して、ある単射な連続写像 f\colon [0,1]\to Xf(0)=a,\, f(1)=b となるものが存在する。

この定理は、定理Aの証明と共通のテクニックを使って示すことができます。

最後の「余談」では、定理Aの証明に用いた局所連結性についての知識の簡単な応用として、ワルシャワの円のすべてのホモトピー群が自明であることなどを示します。

PDF「全射な曲線と単射な曲線」

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