次元論PDF

yamyamtopo です。トポロジーをしています。

Twitter で何回か、「次元論 PDF 」なるものを作成しているというツイートをしました。

まだ、執筆途中なのですが、最近筆が止まってしまい、図らずも「安定域」に達してしまったので、とりあえずここで公開しようと思います。

ダウンロードはこちらから→ 次元論 PDF

タイトルは「位相次元論の基礎」としました。これは(おそらくはよりメジャーな)環の次元論などと区別したつもりの題名です。気持ちとしては、次元論の基礎としたかったのですが。なお、このテーマを扱った和書は、1950年の森田紀一先生が書かれた非常に古いものしかありません。それがこれを書いてみた理由の一つでもあります。

位相次元論が完成したのは古く、1920 年代くらいです。その頃の問題意識として、R^n と R^m が n≠m のときに位相同型でないことを厳密に証明したいというものがありました。この問題を解く初期のアプローチが次元論です。すなわち、位相空間に対して、「次元」という位相不変量を定義し、R^n の次元が n であることを証明しようとしたのでした。現在、この事実の証明は、ホモロジー論により置き換えられていますが、元々のアプローチにも味わい深いものがあり、是非多くの人に知っていただきたいと思っています。

現在書かれている部分は 73 ページありますが、そのうち最初の 19 ページに相当する §§1-6 では、最も基本的な理論をまとめました。ここまでで、R^n の次元が n であることが証明されるほか(ただし、Brouwer の不動点定理を援用します)、次元の和集合・積などについてのふるまいについての基本定理が示されます。次元論を初めて学ぶ方は、まずここまで読まれるのが良いと思います。

後にに続く §7 と §8 は、「埋め込み定理」と「一致定理」という、これも次元論の重要な定理の証明に充てられます。§7 はその準備として、開被覆と脈体 (nerve) についての基本事項を説明します。これは一言でいえば、一般の位相空間を単体複体で近似して、幾何的な性質を調べやすくする道具です。

§8 で示される「埋め込み定理」は、 n 次元以下の可分距離空間がすべて 2n+1 次元ユークリッド空間に位相的に埋め込めることを主張します。(Whitney による多様体の埋め込み定理でも、n 次元多様体の一般の位置での埋め込みには 2n+ 1 次元ユークリッド空間が必要なのでした。)

さて、位相次元には複数のアプローチがあり、Poincaré のアイディアに基づく帰納的次元と、Lebesgue のアイディアに基づく被覆次元が主なものです。さらに帰納的次元には二種類があります。§8 で示される「一致定理」は、これらの次元が、可分距離空間の範囲内では、すべて一致することを主張するものです。ここでは、一致定理は埋め込み定理の副産物として証明する形を取ります。

§9 は、被覆次元を球面 S^n への写像の拡張可能性によって特徴づける定理を紹介します。この話は、後に続く §10 のコホモロジー次元の話に続く予定のものです。コホモロジー次元は、Eilenberg-Mac Lane 空間への写像の拡張可能性を次元の定義としていると解釈でき、§9 の話と対応します。…というのが筋書きですが、実際にはご覧のとおり、ホモロジー論の初歩を書いているうちに、力尽きて尻切れトンボの状態となっております。

今後、内容を書き終えることのほかに、図を補う・参考文献を補うなどのことも残っているのですが、それを待っていてはいつ陽の目を見るか分からないということもあり、公開することにします。

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